水曜日の凱歌
おはち評価 ⇒ ★★★★★ (5.0)
『水曜日の凱歌』
戦後を生きる14歳の少女目線で描かれた小説です。
戦争を知らない私のような世代を生きている人は
読むべき一冊かと思います。
★あらすじ
昭和20年8月15日水曜日。戦争が終わったその日は、女たちの戦いが幕を開けた日。世界のすべてが反転してしまった日―。14歳の鈴子は、進駐軍相手の特殊慰安施設で通訳として働くことになった母とともに各地を転々とする。苦しみながら春を売る女たち。したたかに女の生を生き直す母。変わり果てた姿で再会するお友だち。多感な少女が見つめる、もうひとつの戦後を描いた感動の長編小説。
✍️
現在、学校教育やテレビニュースでも
従軍慰安婦問題は取り沙汰されていますが
この小説では学校の授業でも習うことがないRAAという言葉を
初めて知りました。
戦後を生き抜く多感な14歳の主人公目線で戦争の悲惨さを
リアルに表現しています。
大切な家族を喪い、戦後を生き抜く為に変わっていく母親…
引っ越した先で出会うさまざまな人たち…
お金があってもなくても贅沢が出来ても出来なくても
戦争で失われた家族や大切なものを失った喪失感
みたいなものは消えないし
心は寂しいままでも生きていかなければならない。
戦争はたくさんの人たちの心を奪ってしまうものだと
改めて考えさせられました。
母親も生きる為に変わらざるを得なかったのかと思いますし
それに対し主人公鈴子の中に渦巻く感情も
共感出来るものでした。
乃南アサさんの作品は
主人公の細やかな感情を丁寧に表現しているので
心にグッときますね。
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