読書📚で価値観を広げたい🌏

ミステリー、ヒューマンストーリーが好き

流転の海シリーズ

おはち評価 ⇒ ★★★★★(5.0)

『流転の海 宮本輝

 

久しぶりの更新です。

今回ご紹介するのはシリーズ全て執筆するにあたり

約40年かかったという圧巻の大河小説です。

昨年全巻購入し一年以上かけてゆっくり読み進めました(^^)

ずっと手元に置いておきたいですし

何度も読み直したいと思えるくらい素晴らしい作品でした。

 

これ以上の作品には出会えないと思えるほどに

自信持ってオススメ出来る作品です!

 

 

 

あらすじ

自らの父をモデルにした松坂熊吾の波乱の人生を、戦後日本を背景に描く自伝的大河小説「流転の海」。昭和42年。熊吾が授かった息子・伸仁は20歳の誕生日を迎える。「俺はこの子が20歳になるまでは絶対に死なん」そう誓った熊吾の、大願成就の日を家族3人で祝うが・・・・・。

熊吾の人生の最後には、何が待ち受けていたのか。妻の房江は、伸仁はどう生きていくのか。そして、幸せとは。宿命とは何だろうか。

 

 

 

✍️

簡単に感想を書くのも憚られます…笑

 

「家族愛、生死、裏切り」

どんな自己啓発本より人生の勉強になるような

哲学本ではないかと思います。

登場人物が多すぎますが人物描写が素晴らしいので

それぞれ良き個性があるので覚えられます。

且つその当時を生きていない私でも楽しめるような風景描写で

本当に素晴らしい作品ですので

当時の情景を想像しながら読み進めていくことが出来ます。

 

気になる方はぜひ読んでみてください(^ν^)

 

 

秘密

おはち評価 ⇒ ★★★☆☆(3.5)

『秘密 東野圭吾

非現実的且つ重い作品でした。

 

 

 

 

あらすじ

運命は、愛する人を二度奪っていく。
自動車部品メーカーで働く39歳の杉田平介は妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美と暮らしていた。長野の実家に行く妻と娘を乗せたスキーバスが崖から転落してしまう。 妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。 その日から杉田家の切なく奇妙な秘密"の生活が始まった。 外見は小学生ながら今までどおり家事をこなす妻は、やがて藻奈美の代わりに 新しい人生を送りたいと決意し、私立中学を受験、その後は医学部を目指して共学の高校を受験する。年頃になった彼女の周囲には男性の影がちらつき、 平介は妻であって娘でもある彼女への関係に苦しむようになる。

 

✍️

所々で胸が痛くなる場面がありました。

主人公はやはり娘の身体に宿っている妻より

若い女性に惹かれるものですし

妻も歳が近い青年に惹かれるのは仕方ないですね。

 

なんとも言えない寂しい気持ちになります。

 

主人公平介も事故さえなければ嫉妬に狂うことなく

妻・娘とともに幸せな時間を過ごすことが

出来たかもしれない。

 

この作品は主人公目線の気持ちしか

表現されていないのですが妻(直子)の感情や

心の動きも表現してほしかったとも感じます。

それを想像することが読み手側の楽しみ

だったりもしますが

 

直子はこれから娘の体で新たな人生を

築いていくことは出来ますが

平介は妻であり娘である直子の幸せを

願いたいと思っても

何かある度に嫉妬心は消せないですし

幸せになることは難しそう

 

ただ平介自身、もう少し精神性が高ければ

束縛や嫉妬よりも帰りが遅い娘()の為に

家事をしたり応援することに

誠意を尽くせたのではないかと思いました。

 

 

 

水曜日の凱歌

おはち評価 ⇒ ★★★★★ (5.0)

『水曜日の凱歌』

 

戦後を生きる14歳の少女目線で描かれた小説です。

戦争を知らない私のような世代を生きている人は

読むべき一冊かと思います。

 

★あらすじ

昭和20年8月15日水曜日。戦争が終わったその日は、女たちの戦いが幕を開けた日。世界のすべてが反転してしまった日―。14歳の鈴子は、進駐軍相手の特殊慰安施設で通訳として働くことになった母とともに各地を転々とする。苦しみながら春を売る女たち。したたかに女の生を生き直す母。変わり果てた姿で再会するお友だち。多感な少女が見つめる、もうひとつの戦後を描いた感動の長編小説。

 

✍️

現在、学校教育やテレビニュースでも

従軍慰安婦問題は取り沙汰されていますが

この小説では学校の授業でも習うことがないRAAという言葉を

初めて知りました。

戦後を生き抜く多感な14歳の主人公目線で戦争の悲惨さを

リアルに表現しています。

大切な家族を喪い、戦後を生き抜く為に変わっていく母親…

引っ越した先で出会うさまざまな人たち…

お金があってもなくても贅沢が出来ても出来なくても

戦争で失われた家族や大切なものを失った喪失感

みたいなものは消えないし

心は寂しいままでも生きていかなければならない。

戦争はたくさんの人たちの心を奪ってしまうものだと

改めて考えさせられました。

母親も生きる為に変わらざるを得なかったのかと思いますし

それに対し主人公鈴子の中に渦巻く感情も

共感出来るものでした。

 

乃南アサさんの作品は

主人公の細やかな感情を丁寧に表現しているので

心にグッときますね。

 

長い長い殺人

おはち評価 ⇒ ★★★★☆ (4.2)

長い長い殺人 宮部みゆき

★あらすじ

轢き逃げは、じつは惨殺事件だった。被害者は森元隆一。事情聴取を始めた刑事は、森元の妻・法子に不審を持つ。夫を轢いた人物はどうなったのか、一度もきこうとしないのだ。隆一には八千万円の生命保険がかけられていた。しかし、受取人の法子には完璧なアリバイが…。刑事の財布、探偵の財布、死者の財布―。“十の財布”が語る事件の裏に、やがて底知れぬ悪意の影が。

 

✍️

宮部みゆきさんの古い作品です。

主人公が財布で財布目線で物語が進行していくというのが

とても新鮮で斬新だと感じました。

人間が肌身離さず待っていて一番近くに存在している財布

だからこそよく人間のことを理解しています。

 

さまざまな持ち主の財布から語られるストーリーが

どう繋がっていくのか…。

短篇集のように思えますがしっかり物語が繋がっていて

惹き込まれる作品でした。

気になるので一気読みしてしまいました。

神様からひと言

 おはち評価 ⇒ ★★★★☆ (4.0)

『神様からひと言 萩原浩』

最近、ミステリー小説ばかり読んでいたので

久しぶりに違う系統の小説を読みました(^ ^)

 ★あらすじ 

 大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。

 

✍️

所々で声に出して笑ってしまう程、面白い場面がありました。

序盤、この主人公大丈夫か…と心配になりましたが

徐々に成長していく姿が頼もしかったです。

会社組織というものは多かれ少なかれどこにでも

不正や偏った方針はあるけれども

生活の為、家族の為、間違いを正すことなく受け入れ

働いている人がほとんどだと思います。

仕事のスタンスとは人それぞれで真面目に働きすぎるのも

バカらしく思えてくることもありますよね。

この作品はユーモアをたっぷり交えつつ

少々肩の力を抜いてストレスなく働くコツを教えてくれます。

 

主人公が異動する「お客様相談室の直属上司」というのが

最高にいいキャラですよ。

現実に会社に存在すればクビかもしれませんが…笑

まあそれも本の中だからこそ楽しめるのかな!

 

サラリーマンに勇気を与えてくれる作品ですが

主人公は結婚しておらず、まだ若いので

読者の年齢、環境、置かれた立場で感じ方は

変わるかな〜といった作品です(^^)

 

能面検事

おはち評価 ⇒ ★★★★☆ (4.0)

『能面検事 中山七里』

中山七里さんの本が読みたいと思い、購入しました。

不破検事のキャラ結構お気に入りです(^^)

 

★あらすじ

巷を騒がす西成ストーカー殺人事件を担当している、大阪地検一級検事の不破俊太郎と新米検察事務官の惣領美晴。どんな圧力にも流されず、一ミリも表情筋を動かすことのない不破は、陰で能面と呼ばれている。自らの流儀に則って調べを進めるなかで、容疑者のアリバイは証明され、さらには捜査資料の一部が紛失していることが発覚。やがて事態は大阪府警全体を揺るがす一大スキャンダルへと発展し―警察内から裏切りと揶揄される不破の運命は、そしてストーカー事件の思いもよらぬ真相とは―大阪地検一級検事・不破俊太郎。孤立上等、抜き身の刀、完全無欠の司法マシンが、大阪府警の暗部を暴く!

✍️

不破という何事にも動じない検察官。

協調性がなく自分にも他人にも厳しく

仕事が出来すぎる人と実際一緒に働くとなると

ちょっとしんどいかもなとは思いました笑

人間性云々ではなく「仕事面」は尊敬出来る人です。 

 

不破検察官とは対照的にすぐ感情的になり

正義感ばかりが先走る新米検察事務官

 

このコンビはある意味均衡が保たれているような気がします。

 

出世や保身とか関係なく、真実のみを追求していく

不破検事のような人が存在すれば

冤罪は少しでも減りそうですよね。

でもそういう人こそ、組織から煙たがられて

消されるのが現実なのかなとも思います。

 

ドラマ化しても面白そうです(^^)

 

沈黙のパレード

おはち評価 ⇒ ★★★★☆ (4.2)

『沈黙のパレード 東野圭吾

東野圭吾さんの作品は発売されたら

すぐに購入してしまいます(^ ^)‼︎

湯川先生シリーズ好きなので読む前からワクワクでした。

 

★あらすじ

突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。秋祭りのパレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたのか。殺害方法は?アリバイトリックは?超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める。

 

✍️

一気読みでした。

ガリレオシリーズの湯川先生(福山雅治)を想像しながら

読みましたが心温かい人々の中に溶け込んでいる場面は

いいですね。

過去の事件と蓮沼殺害さえなければ

素敵な物語になりそうなのに!と思いますけど

それじゃあ面白くなりませんね…。

 

黙秘を貫けば無罪を勝ち取れるというのは

理不尽だなと思います。

今回の事件の被害者「蓮沼」は同情の余地がないクズでした。

ミステリー小説として犯人や物語は予想できる内容でしたが

面白かったですよ( ◠‿◠ )

友罪

おはち評価 ⇒ ★★★★☆ (4.4)

友罪 薬丸岳

薬丸岳さんの作品は読了後に考えさせられます。

自分の友達、親友と呼べる仲の人が

事件の殺人犯だとしたら…。

★あらすじ

あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?埼玉の小さな町工場に就職した益田は、同日に入社した鈴木と出会う。無口で陰のある鈴木だったが、同い年の二人は次第に打ち解けてゆく。しかし、あるとき益田は、鈴木が十四年前、連続児童殺傷で日本中を震え上がらせた「黒蛇神事件」の犯人ではないかと疑惑を抱くようになり―。少年犯罪のその後を描いた、著者渾身の長編小説。

 

✍️

この作品は主人公の益田を含め3名の視点で

交互に書かれているのですが

「鈴木」の視点が一切書かれていないところが読者の想像を

膨らませ、考えながら読めるのが良いところかと思いました。

もし自分が親しくしている人が殺人犯だったら…と考えたら

やはり今まで通りに接することは出来ないと思います。

たとえどんな事情があっても人殺しは罪です。

自分の家族が犯罪者だったら…

自分の友達、恋人が犯罪者だったら…

自分が遺族だったら…

置かれた立場で360°考え方は変わるとは思いますが

結局多少は自分の都合が良いように考えてしまう部分も

あるのかと思いますね。

生きていれば良くも悪くも変われますが

死んでしまえばどうにもなりません。

 

「益田」の葛藤には、共感出来るところは多かったです。

読み進めるほど重い作品でした。

パレートの誤算

おはち評価 ⇒ ★★★★☆ (4.0)

『パレートの誤算 柚月裕子

生活保護の不正受給についてのストーリーです。

福祉の闇部分。現実にもあるのでは…?

と思ってしまう部分もありました。

現在の社会問題に着目した作品だと思いました。

 

★あらすじ

ベテランケースワーカーの山川が殺された。新人職員の牧野聡美は彼のあとを継ぎ、生活保護受給世帯を訪問し支援を行うことに。仕事熱心で人望も厚い山川だったが、訪問先のアパートが燃え、焼け跡から撲殺死体で発見されていた。聡美は、受給者を訪ねるうちに山川がヤクザと不適切な関係を持っていた可能性に気付くが…。生活保護の闇に迫る、渾身の社会派ミステリー!

 

✍️

以前、紹介させていただいた本、

「中山七里さんの護られなかった者たちへ」と

柚月裕子さんのパレートの誤算」は

生活保護に着目という観点は重なる部分がありました。

 

前者は福祉の支援を求めている人に行き届かず

役所の窓口対応方法が原因で事件が起きる。

 

後者は役所職員がヤクザとの繋がりを持ってしまい

不正受給に手を貸したことがきっかけで

事件が起きるといった具合です。

 

 

ミステリー小説として意外性がなく少々物足りないところも

ありましたが、福祉の社会問題については勉強になりました。

ただケースワーカーが受給者にお金を貸すということは

まず有り得ないのでは…と思いました。

ケースワーカーの中には

困っている人の声に熱心に耳を傾ける人もいれば、

自分の利益を最優先に働く人もいるということは

否めないですよね。

 

ルパンの消息

おはち評価 ⇒ ★★★★★  (5.0)

『ルパンの消息 横山秀夫

 

横山秀夫は好きな作家さんなので

購入してみました。

伏線回収が素晴らしい作品だと思いました。

 

★あらすじ

十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。

 

✍️

処女作らしいですが、内容がおもしろくて一気読みでした。

時効寸前の出来事を回想で表現しているのですが

過去と現在が少しずつ繋がっていくことも

伏線回収も上手で楽しめました(^^)

過去に読んだミステリー小説の中でもかなり面白かったです。

犯人を知った上で再読するとまた違った楽しみ方が

出来るのではないでしょうか。