友罪
おはち評価 ⇒ ★★★★☆ (4.4)
薬丸岳さんの作品は読了後に考えさせられます。
自分の友達、親友と呼べる仲の人が
事件の殺人犯だとしたら…。
★あらすじ
あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?埼玉の小さな町工場に就職した益田は、同日に入社した鈴木と出会う。無口で陰のある鈴木だったが、同い年の二人は次第に打ち解けてゆく。しかし、あるとき益田は、鈴木が十四年前、連続児童殺傷で日本中を震え上がらせた「黒蛇神事件」の犯人ではないかと疑惑を抱くようになり―。少年犯罪のその後を描いた、著者渾身の長編小説。
✍️
この作品は主人公の益田を含め3名の視点で
交互に書かれているのですが
「鈴木」の視点が一切書かれていないところが読者の想像を
膨らませ、考えながら読めるのが良いところかと思いました。
もし自分が親しくしている人が殺人犯だったら…と考えたら
やはり今まで通りに接することは出来ないと思います。
たとえどんな事情があっても人殺しは罪です。
自分の家族が犯罪者だったら…
自分の友達、恋人が犯罪者だったら…
自分が遺族だったら…
置かれた立場で360°考え方は変わるとは思いますが
結局多少は自分の都合が良いように考えてしまう部分も
あるのかと思いますね。
生きていれば良くも悪くも変われますが
死んでしまえばどうにもなりません。
「益田」の葛藤には、共感出来るところは多かったです。
読み進めるほど重い作品でした。